あだちの再生工房

古い機械類を修理再生する趣味の部屋です。

       発信元: 安達正晴 三重県三重郡朝日町縄生

DELICA Grid Dip Meter

三田無線研究所のグリッドディップメーター(GDM)をジャンクで入手しました。

グリッドディップメーターに関する解説書として、茨木 悟著 「グリッドディップ・メーターの使い方」 が有名ですが、この本によれば このディップメーターは特に型式はなく、HAM用 標準型と呼ぶもののようで 400kc~205MCを5コイルでカバーするものです。  
なお、この本は昭和50年1月 第8版発行で、昭和51年頃購入したものです。
(2017年4月修理終了)


外観は程度はあまりよくなく、つまみ類もオリジナルではないようです。

配線の状況です。 抵抗やネオン管(ヒューズのように見えるもの)が空中配線されており、どう見てもオリジナルに手を加えているようです。 ちょっと通電してテストする気がしないので、ばらしていくことにしました。

上記の本に不鮮明ですがこのGDMの内部写真があるので見比べると、かなり違っています。 トランスや平滑コンデンサも変えられているようです。

これまで私は使ったことのない貫通コンデンサが使われています。 ノイズ除去のようで回路図にも記載されています。
この辺は半田をやり直した痕跡がないのでオリジナルのようです。
全部品を外し、チェックした結果を回路図に記入しました。 (回路図は上記の本に掲載)
オリジナルとの相違点
(1) ヒューズが無し
(2) 電源部の100Ω抵抗が無し
(3) トランスの二次電圧が150Vではなく300V
(4) 500Ω抵抗が150Ω
(5) 50kΩの可変抵抗が500kΩ
(6) 0.001uFのコンデンサが追加
(7) 10kΩではなく20kΩ
(8) Phoneジャックを殺してある(Modulator出力をメータに直結の形)
意図がよく分かりませんが、このように改悪してある?ようです。
これからオリジナルに戻していく予定です。


ばらした部品をチェックすると色々問題が判明しました。
1)DC 1mAのメーターが不動。 
導通チェック時はOKだったのですが、電流を流してチェックするとしばらく、不安定な動きをしてふらついていましたがついに動かなくなりました。
分解するとスプリングコイルが腐食で断線していました。  

コイルに軽く触るとパラパラと破片が落ちてきました。 
よほど環境が悪いところに置かれていたのかと思ってしまします。
このサイズ(穴径 約φ67)のメータの入手は難しいようなので、代用品を購入するしかありません。 

バネをなくしたメーターです。 とりあえず、目盛版は将来使えるかもしれないので,このまま保管します。

2)500kΩの可変抵抗(本来は50kΩ)の断線
完全に導通なし。 前所有者はよくもまあこんな状態にしておいたものとあきれます。
これも正規の50kΩを購入し、交換します。

3)Phoneジャックの穴径がφ6.1(実測)で最近のphoneプラグ(φ6.3実測)が入りません。 これも新品を購入し交換します。

4)入手品はヒューズがついてなかったので、フューズケースを取付ける支柱をアルミ板で作りました。 トランスを固定するビスに共締めするつもりです。

5)電源トランスも二次が300Vだったので、正規の150Vに戻しました。
回路図と照合しながら結線しました。
結線の状況です。 ヒューズは手持ちの0.5Aを入れることにしました。

メーターはすぐに入手できなかったので
手持ちの1mAを仮につなぎました。 これはR-390Aの予備にストックしているメーターです。
Bコイル(5.5MHz~23MHz)を挿入し、10MHzで発振させているところです。 AlincoのDJ-X10のワイドバンドラジオで確認すると正しく10MHzで発振しているようです。

ModulatorをONするとネオンランプも点灯しています。 真空管が赤く点灯しているのを見るとなごみます。

変調波形をみると、208Hzと想定より低周波です。電圧は 40V~140V の鋸刃波形です。(Probeは1/10を使用)

そこで0.002μFの代わりに1/5の400pFに交換すると、ほぼ計算通りの922Hzとなりました。
例の解説書では約400Hzとあるので、0.001μF程度に変更する予定です。

DC 1mAのメーターが届いたので組み込みました。
アルミ板で加工すれば良いのでしょうが、丸穴を開けるのが大変なので柔らかい発泡塩ビ板を使いました。

ケースにかぶせるように取付けた場合の外観です。 ちょっと黒丸が目立つ気がするのでこの方式はやめました。

板を内側に取付けた場合の外観です。 こちらを採択することにしました。

ON-OFF-MODの切り替えスイッチのツマミも小型に換えました。


Bコイル(5.5MHz~23MHz)にて10MHzで発振させ、適当に作ったコイルを結合させシンクロで測定しました。

シンクロ波形です。 10.04MHzで発振しておりディップメーターの目盛はかなり精度が高いことが分かります。
これで一連の修理は完了とします。

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更新: 2017/10/13
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