キャブの同調

キャブのオーバーフローも解決しやっとエンジンを始動できるようになったので、試作したバキュームゲージを使ってキャブの同調をやりました。
 本来なら点火時期の調整、バルブの調整をしたうえでキャブの同期をとるべきでしょうが今回はキャブだけで調整しました。
バランスが取れた後、試走をしましたが驚くほどスムーズなったような気がします。
アイドリングの振動も少なくなり、高回転まで振動が減った気がします。
印象は大きく変わり、Boxer Twinも捨てたものではないと実感できました。
2016年5月実施


オーバーヒートしないように送風機を2基使用しました。




左側の負圧計測用の内径3mmパイプです。
(キャブ側は4mmなのでアダプターを使用)
パニアケースに入れて走行中も測れるようにパイプは長めにしました。

右側の負圧パイプです。 左右のパイプ長さは正確に同じにしています。

センサー基盤、USB-6009(ADコンバータ)、コンピュータは特に固定はせずにシートに置きました。

負圧の実測例です。 
白い線が左キャブ、赤い線が右キャブです。
クランキングからエンジンが始動しアイドリングに至る過程です。
キャブの負圧は静圧を測っているので、スロットルを閉じているアイドリング時が一番負圧が大きく(絶対値が大きい)、スロットルを開けると回転が上がりベンチュリーの速度が大きくなるので動圧は大きくなりますが、逆に静圧は小さくなります。
エンジンの始動時には少しスロットルを開け気味にするので起爆した段階では静圧は少し低くなっています。 
始動したらスロットルを閉じたので、下の波形のように静圧が大きく
なります。   
市販のバキュームゲージではこのような挙動は分からないので、この点では今回の計測法は優れているかなと思っています。 
だだし、簡便さは劣ります。
この段階ではスロットルケーブルの遊びなど未調整なので赤線が白より高めでバランスが狂っています。

クランキング部分の拡大です。
白線の周期は0.435秒です。 4サイクルエンジンなので回転速度は275rpmになります。
(60sec/0.435sec x 2=275rpm)
意外とスターターの回転は低いです。


エンジンが起爆し始動直後の拡大です。
回転速度は2790rpmとなっています。
(60/0.0430×2=2790rpm)
これは始動時にはスロットルを少し開けているために高回転になっています。


アイドリング状態です。
 ( 60/0.0900×2=1333rpm )
チョークを引いたままなのでちょっと高めの回転数です。 まだバランスは狂ったままです。



スロットルケーブルの遊びを調整したら、それ以外何もせずともアイドリング(1000rpm)
から高回転5000rpmまで負圧は左右同じになりました。
これは4444rpmの波形例です。
( 60/0.0270×2=4444rpm)

アイドリング(1052rpm)からスロットルを開き2142rpmに回転を上げた時の過渡状態です。




4000rpmからスロットルを戻した状態です。
3750rpmまで下がっていますが慣性のためすぐには下がりません。
このように過渡状態でも左右のキャブの負圧はバランスが取れています。