愛知時計の壁掛け時計の修理

親戚から修理を頼まれました。
昭和12年に点検したというラベルが貼ってあったのでそれ以前に製造されたものと
思われます。
(2014年8月16日 修理完了)


現状は振り子が脱落し、正常には作動出来ませんが、振り子なしで高速で時刻を刻み、定時になるとボーン、ボーンと鳴るので、振り子以外は問題ないようです。

真鍮の薄板枠は4ヵ所を木ねじで固定するのですが、2ヵ所で真鍮板が欠損したため、いつの段階か分かりませんが、アルミ板で補修してありました。

本体のムーブメントです。
真鍮枠を固定する木ねじの孔がルーズになっていたので、孔をエポキシ樹脂で補強しました。

振り子の腕です。
支点側にある板バネが折れています。

板バネをアームに巧妙な構造で半田付けしています。




支点側の板バネも折れています。
先端は支柱のスリットに挿入してあるだけで、抜け防止に小穴にワイヤを通してあります。
これは正規の方法ではないような気がします。

折れたバネをつなぎ合わせると全長は3cmほどですが、本来の長さはもう少し長かったと思われます。

同じ板厚の鋼板がなかったので0.1mm厚保の燐青銅板で板バネの代用品を作ります。

アームとの接続は半田付けは難しいのでエポキシで接着するとともに、ビス止めしました(M2.6の小ネジ)

本体に組み付けた状態です

振り子のおもりとアーム板バネです。
おもりの調整ネジ(雄雌とも)がだいぶ摩耗しています。
針金にネジを切った簡単な構造なので作り直した方がいいのかもしれませんが当面支障がないので、旧態保存とします。

確認のため、振り子を本体に取り付け、おおよその周期を測定しました。
板バネの位置を固定しても、振り子のネジの範囲内で調整出来そうです。

文字盤も取付け、最終の時刻調整です。振り子の周期調整は数日かけて行います。
時計屋さんなら、ピッチを測定する道具があるのでしょうが....
歯車の歯数を調べれば一分間に振れる周期は求められるのでしょうが、ばらすのも
面倒なので、時間をかけて調整します。
粗い調整段階(2日目)で、24Hrで1分の遅れ。
(振り子の周期は 1.03回 /sec すなわち、58.2秒で60回の振れ)