Solar CE Capacitor EXAM-ETER (Analyzer)

十数年前にコンデンサーのテスター(Capacitor Analyzer)の不動品を仕入れましたが、手つかずのまま放置していました。
いつもはSPRAGUEのTEL-OHMIKE TO-6を使っているので、再生する必要はないのですが、もったいないので直すことにしました。
  Solar社のCE Type 1-60というCapacitor Analyzerです。
(SolarではAnalyzerと言わずEXAM-ETERと呼ぶようです)
回路図の年号を見ると1941年とあるので1940年代の製品のようです。


正面の外観です。
目盛の外側は前の所有者が張り付けたスケールです。

内部の回路です。部品点数は少ないのでリストアはそれほど面倒ではなさそうです。

私の流儀ですが、誤った修正などがないか確認のため回路図と現物を照合しながら実体配線図を作成します。 
基本的には全抵抗、コンデンサを外すので再組立ての際のチェックも兼ねています。




これまで抵抗やコンデンサに番号を記入するために ぺんてるの白ペンを使っていたのですがインクの出が良くないのと、だんだんペン先が太くなってしまうなどの問題がありました。
試しに三菱鉛筆のSignoシリーズのボールペン
(UM-153、少し太めの1mm, 顔料ゲルインク)を使ってみました。

ボールペン式ではありますが、インクがたっぷり出るので硬い抵抗にもきれいに字が書けます。
これはお勧めです。






抵抗やコンデンサーを外しながら、再使用が可能かチェックしています。
比較的厄介な故障が2部品に見つかりました。

部品-1
コンデンサの値などを決める肝心のポテンショメータ(R1 10kΩ)に断線が見つかりました。
ポテンショの外観です

巻き線抵抗器で2つのブラシの構成です。










断線部の拡大です。 ちょっと修復は難しい気がします。
代用品として10kΩのポテンショは手に入りますが、回転角度がこれと同一である保証がないので、キャリブレーションをうまく行ってもオリジナルの目盛に対応させることができるか少々不安です。
最悪、ある係数を掛けて補正することになるかも知れません。
(パネルの目盛を書き換えてもいいのですがこれも面倒)

部品-2
Voltage Deviderと呼ぶ直列抵抗
(72kΩ+9kΩ+23.5kΩ構成のCandohm)のうち9kΩ部分が導通がありません。
このCandohmはHallicraftersのSX-28にも使われていたのですが、1940年代にそれぞれのメーカの要求仕様に応じて、Candohm社?が作ったようです。 
当然、現在ではこのような構成の抵抗は手に入らないので、個別の抵抗を直列につなぐ必要があります。
多分容量は5ワットから10ワットと思います。  
このようなワット数が大きく、中途半端な抵抗はないので色々組み合わせて合成することになります。

構造を知ろうとばらしました。 モールドされており分解はここまでです。 
結構板金が分厚いので元に戻すのは無理です。










抵抗やコンデンサの不良品を取り外しました。
(原則としてパーツリストの値に対し±20%を越えるもの)
大きく外れたものとしてR2
(119.5kΩに対し実測は160.0kΩ)、
R6(4Mに対し6.87M),
C4(4μFに対し5.7μF)など。

ポテンショメータを含め、交換品を
Surplus Sales of Nebraskaから購入しました。
(この店は種類が豊富なので昔からここをよく使います)




リストアする前のオリジナル状態です。





ほとんどの抵抗とコンデンサは交換しました。 
大きなペーパーコンデンサー(C2,4μF)が小さなコンデンサに代わったので見た目にはすっきりしました。 
回路図にはない後付のコンデンサは
除去しました。

可変抵抗器(R1 10kΩ)としてClarostat製の47-12003(4watt)を注文したのですが、偶然にも回転角度はオリジナルと全く同じだったので、心配は杞憂に終わりました。 
ラッキーでした。
回転角度に規格があるのかも知れない。

組みあがった段階で0.1μFのコンデンサを測定したところ0.09μFと測定されました。 
ちょっと誤差が大きい気もします。
回路図を見てもどこをいじれば合わせ込めるのかよくわからないので、トライアンドエラーでやってみようと思います。

前の所有者が張り付けた目盛は不要なので除去しました。 
これがオリジナルのフロントパネルになります

メーターの拡大です。 600Vまで負荷できます



何度か使用して問題はなかったのですが、Candohm抵抗(R19)の代用として取付けた抵抗(23kΩ部)がかなり高温になっていたので、念のためワット数の大きいものに交換しました(7Wattから28Wattへ)。

交換前
11.5kΩ 7Wattの抵抗を直列にして23kΩ,7Watt



交換後
47kΩ 14wattを並列にして23.5kΩ、28Watt適当なワット数の抵抗がなかったので、
過大なワット数になってしまいました。