Sencore TC162(真空管試験機) その2

しばらく使っていなかったのでCalibrationを行ったところ、Grid Leakageの針の振れがおかしいことに気付きました。 
?とGOODの境界線まで振れたり、ほとんど振れなかったりと不安定です。
製造から40年以上経っており、抵抗値もかなり大きく狂っているので思い切ってすべての固定抵抗と一部コンデンサを交換することにしました。
後で分かったのですが、スライドスイッチ( “A” pin Elimination )の4番の導通不良が原因でした。
念のため10個のスライドスイッチを分解、清掃しました。


本来あるべきCR4(Zener, 2.2V)が
欠落していることを発見しました。
半田付けの後もないことから初期からなかったと思われます。
これがなくとも作動するのですが、メータの安定度を確保するためのものと思います。新品を追加しました。

”C” Load SW周りの抵抗を交換しました。
手持ち品をかき集めたのでサイズがばらばらで見栄えはよくありません。



プリント基板上の固定抵抗を全部交換しました。コンデンサは一部を交換

交換する前のオリジナル状態です。


交換した古い抵抗、コンデンサです。




交換したパーツリストです。

導通のなかったスライドスイッチ No.4です。
グリスが固まり、接触不良を起こしたようです。
グリスをふき取り、ピカールで軽く研き、接点復活剤DeoxIt D5で拭きました。
(油類は付けずにおきました)
念のため、No.4以外の9個のスライドスイッチをすべて分解、清掃しました。

裏側の配線の全体写真です










私のTC162のACラインには抵抗とコンデンサが付いているのでこの回路図に相当します。
新旧2種類の回路図があるようです。



回路を理解するためにシミュレーターでEmissionとGrid Leakageをシミュレートしました。
ピッタリ同じパーツがないので近いものを利用しました。 2N5457は2N5458 などトランス電圧もピッタリ同じではなく近い設定です。

ソケット1にCalibration Moduleを付け、0.7mAに設定した状態です。
FETのゲートとソースの電圧波形です。
( ?とGOODの境界線上を想定)


Emission の検定です。 0.6mAに設定です。
FETのゲートをソースの波形です。





Emissionの検定のFET ゲートの実測波形です。
シミュレーションより電圧は高めです。
波形はよくあっていますが、もう少し絶対値を合わせたいところです。