Hallicrafters SX-28(その1)

履 歴

1957年頃、大阪の忠岡町に住んでいた時、父が大阪日本橋で購入し、重量物ゆえHAM仲間と二人で持ち帰ったと記憶しています。       
小学生の私はなんと難しいラジオかと思っていました。           
20年以上前に、「かなり面倒であったが、一部のコンデンサをリキャップした」と聞いていました。      
久しぶりに通電したら、1分ほど受信できたものの、パーンという音がして、白煙が上がり受信不能となりました。      
1st RF AmpのバイパスコンデンサC16の破裂でした。 (2012年9月) 
何とか再生したいと思い、2013年1月からリストアを開始しました。

リストア

 シリアル番号(H-157128)からすると1942年中ごろの製造と考えられるのでSX-28AではなくSX-28のようです。 
またRFのトリマコンデンサの配列から判断してもSX-28に間違いないが、回路を追っていくと、SX-28Aの回路図と同じ配線となっており、父か、以前の所有者が色々と手を加えた痕跡が認められます。
また、一部に誤配線もありました。
このため、リストアの方針としてすべての抵抗、コンデンサは交換することとし、配線もSX-28Aの回路に従うこととしました。
このSX-28はシャーシが深いためハンダゴテが入りにくく、とくにRF系の抵抗、コンデンサは4つの仕切り板(4つの部屋)を取り外さないと交換できないため、整備性に関してはこれまでで最悪の受信機という感想です。
すべての部品の交換後、通電したが結線ミスのためRFコイルを焼いてしまいました。
この致命的なミスのため、コイルのまき直しなど余計な時間が掛かりましたが、何とか復旧することができました。
                    (2013年3月18日終了)


修理が完了しNHK ( 729kHz ) を聞いています。
2013年3月18日

SX-28 NOTES
Hallicrafters_SX-28_&_SX-28A
これらの情報からすると
H-157128は1942年製です。

これは修理前です
Trimmerの配置は2種類のマニュアル
SX28-mil.pdfとSX38old.pdfから番号を決定
しました。
対応する回路図は
SX28-schematics.pdfです。


修理前です。 左右反転しています。







アンテナ入力、V1廻りの第1室を取り外し。

取り外した後のV1廻りです。
パンクしたC16コンデンサが見えます。

V2廻りの第2室を取り外し。
パンクしたC16が見られます。

取り外した後のV2廻りです。

V3廻りの第3室を取り外し。

取り外した後のV3廻りです。

V4廻りの第4室を取り外し。

 取り外した後のV4廻りです。

RF部を取り除いたシャーシです。

配線を追跡し、回路図と照合するため
フロントパネルのスイッチやボリュームの
端子を見る必要があるため、フロント
パネルを外しました。 

抵抗やコンデンサを取り外すときには
このように図面上の番号を記入しています。
この写真はV8廻りです。 




同時にこのように実体配線図を作成します。
復旧時にはこの通りに半田付けを行います。
 この実体配線図はまとめてPDFにしました。
Restore_Memo2.pdf
これはリストアの全工程のメモでもあります。

V1~V4を除き、すべてのコンデンサと抵抗を
取り外したシャーシです。

V1~V4廻りのパーツも取り外しました。 
これですべての抵抗、コンデンサを外したことになります。                      
取り外した抵抗、コンデンサ類です。
手前の板状のものはCandohm抵抗です。
取り外した順番に抵抗、コンデンサを並べ写真を撮りました。 これをPDFにまとめました。 復旧する際にはこのリストとは逆の順に半田付けをします。                         
    All_Parts.pdf
 
また、取り外した抵抗、コンデンサの現状の値を測定した結果をエクセルファイルにまとめました。 大部分のパーツは20%以上の変化があり再使用は避けた方が良い状態でした。
   SX28_replace.xlsx
  

RF部を除き、すべての抵抗、コンデンサを取り付けました。 次はRFの4つの部屋の取り付けが待っています。 それが結構面倒です。 

RF部の抵抗、コンデンサも付け替え、4つの部屋を組み付けました。 これで電気系のリストアは終了です。

バンド切り替えの糸掛けが切れているのでこの補修のためダイヤル系を分解、清浄することとしました。 

            

歯車やフロントの面板を外したところです。
ベアリングの球が転げ落ちないように   
注意が必要です。               
後は洗浄して組み付けていきます。     

バックラッシュを殺すためのスプリング付の2枚歯の歯車はオイルが固着し、機能していないので、丁寧にオイルを洗浄しました。
また、スプリングを一個紛失したので
φ0.6のピアノ線で作製しました。 飛び跳ねに注意が必要です。                

メインダイアルの軸です。 フライホイルのねじ込み具合で、ウエーブスプリングの強さが変わり、ダイヤ送りのスリップのし易さを調整する構造のようです。  

              

バンド切り替えの糸掛けも終わり歯車類を組み付ける段階です。  
メインダイヤル側の糸掛けはテンションが掛けやすいようにプーリの反対側に掛けました。
SX-28Aのようなテンションスプリングが付いていない構造です。

Band Spreadの糸掛けが結構やりにくかったですが、何とか終わり歯車類の組み付けも終了です。




焼損前のRF Coil T25とT26です。

T26は一部焼け切れてしまいました。

原因とRFコイルの巻き直しについては SX-28 その2 に詳しく記載しました。